連載

第4回 第3項 国家基準点に準拠した地積測量

土地家屋調査士の方々が測量した地積測量結果に、国家座標を与えるいわゆる「座標づけ」を行い、地籍測量に組み込みます。これが「土地異動情報追跡型地籍調査事業」で地籍測量を促進する一つの方法です。余談になりますが、大阪府の豊中市では既に、この方法を取り入れていると聞いています。さて、ここで紛らわしい「地籍」と「地積」の意味について、はっきりさせておきましょう。「地籍」は土地の「戸籍」に関することです。「地積」は土地の「面積」に関することです。

昭和25年に土地家屋調査士制度が創設され半世紀が経過しました。土地家屋調査士の方々の測量は、どちらかというと面積を正確に求めることが重要な役割でした。面積の測量では、その土地が地球上のどの場所に位置するかは分かりません。境界標がなければ、隣接の土地との区別が分からないのです。これは境界紛争のもととなります。そうした制度の欠陥を正すために、地積測量図への境界標の記載や筆界点と近傍にある恒久的地物である引照点との位置関係の記載などが、平成5年の不動産登記法の改正で定められました。最近では、地積測量図に国家座標をもたせるような動きもあります。
以上述べましたように、筆界点が正確な座標で決められていれば、境界標は紛失しても、筆界点は復元されます。また、結果として正確な面積も求められます。

04-03-1

地籍測量の場合は、上図に示すような面倒な工程を経て、国家座標が決められています。国家座標に代わって公共基準点を使うこともできます。これらの面倒な技術基準は、「調査・測量実施要領II(技術基準)」に示されています。

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on LinkedInEmail this to someonePrint this page

目次へ戻る