連載

第7回 第5項 GPS測量による座標づけ (3)

測地成果2000と地積図の座標づけ

 2000年3月号「土地家屋調査士」(日本土地家屋調査士会連合会 発行)のなかで、「土地家屋調査士業務と基準点」と題した法務省担当者の講義録が記載されています。この講義では、地積図の座標づけの重要性がくり返し強調されています。この講義で述べられている座標づけの議論は、公共基準点または地籍測量における図根点などの基準点設置が前提のように思えます。つまり、あらかじめ基準点の設置がなされていて、それを基に地積図の座標づけを行うという手法のように思えます。
 しかし、測地成果2000が実現した場合、GPSによる地積図の座標づけは、公共基準点や地籍図根点の設置とは無関係に行えるのです。そのことは、今月号で詳しく述べたところです。極端に言えば、境界点の設置が不要になるのです。筆界が座標で決められていれば、いつでも筆界は電子基準点から復元できるからです。ただし、日本は地震国なので、地震による地殻変動などのとき、境界点は筆界を復元する補助的な役割を果たすため、あった方がよいと思います。


技術の発展

 現在の電子基準点は約1000点で必ずしも十分密な配置ではありません。今後さらに増設されるでしょうし、1200点位まで増設する計画もあります。また新しい技術が出ています。それは「仮想電子基準点(Virtual Reference Station:略称VRS)」です。電子基準点が無限密度で設置されたような効果をもたらします。国土地理院ではすでに実験段階に入りました。こうした技術は実現すると思いますが、そうすればいよいよ簡単に地積図の座標づけができるようになります。


実施要項の改訂を提言

 2000年12月号の内容は、「土地家屋調査士制度創設50周年記念行事」としてある県の土地家屋調査士会が実施した技術研修会における筆者の講義内容をまとめたものです。
 「日本土地家屋調査士会連合会,調査・測量実施要領II」に示された測量方式は複雑です。測地成果2000の実現と共に、GPS測量による測量方法も追加する必要があるのではないでしょうか。
 追加・改訂の作業等には、私どもアイサンテクノロジーが、測量システムの一メーカーとしてお手伝いさせて頂けると光栄です。また、GPSを利用した測量業務におきましても、皆様方の使い勝手のよいアプリケーション開発を心掛けています。

 

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