用語集

アルファベット順

A B C D E F G H I J K L M

N O P Q R S T U V W X Y Z

五十音順

あ行 か行 さ行 た行 な行

は行 ま行 や行 ら行 わ行

 

『C』から始まる用語

CLAS
みちびきが提供するセンチメータ級測位補強サービスで、Centimeter Level Augmentation Serviceの略。GNSS測位の精度を数センチメートルにするための補強信号を配信するもの。

『D』から始まる用語

DGPS
GPSを利用してディファレンシャル測位を行うこと。 →ディファレンシャル測位
DGNSS
GPSだけでなく他の衛星システムも併用してディファレンシャル測位を行うこと。 →ディファレンシャル測位
DOP
単独測位における衛星配置による測位精度の低下率。衛星配置の分布から測位誤差を推定するための指標で、この値が小さいほど衛星配置の分布が良いことを示す。

『F』から始まる用語

F3
国土地理院で、電子基準点の観測データを解析して求めている、電子基準点の「日々の座標値」のひとつで、観測日の約2週間後に生成される最終解(Final Solution)のこと。
FKP
Flächen Korrektur Parameterの略。ネットワーク型RTKの面補正パラメータ方式のこと。3点以上の電子基準点を基準局とし、その観測量から衛星測位に影響する誤差の補正量を計算する。これにより移動局周辺の誤差量を算出し、ネットワークを通じて利用者に配信する。移動局側はこのデータを受け取り正確な位置を求める。

『G』から始まる用語

Galileo
EUが運用している衛星測位システム。

GDOP
幾何学的精度低下率(Geometrical DOP)の略。PDOPに時刻を加えて指標化したもの。

GEONET
GNSS 連続観測システムで、GNSS Earth Observation Network Systemの略。電子基準点を使用した高密度かつ高精度な測量網の構築と広域の地殻変動の監視を目的とした観測システム。

GLONASS
Global Navigation Satellite System の略。ロシアが運用している衛星測位システム。

GNSS
全地球衛星測位システム(Global Navigation Satellite System)の略。衛星測位システムにおいて、RNSSを含む場合と含まない場合の両方で用いられる。
GPS
Global Positioning System の略。米国が運用している衛星測位システム。
GRS80
測地基準系1980(Geodetic Reference System 1980)の略称。現在日本で採用している準拠楕円体。

『H』から始まる用語

HDOP
水平精度低下率(Horizontal DOP)の略。DOPのうち、水平成分だけを指標化したもの。

『I』から始まる用語

IRNSS
2016年4月に名称がNavICに変更 →Navic
ITRF
International Terrestrial Reference Frameの略。国際的な学術機関IERS(国際地球回転・基準系事業)が運営・管理している世界座標系。最新はITRF2014。現在、日本が採用している。

『L』から始まる用語

L1帯
中心周波数を1575.42 MHzとする周波数帯。
L1C
QZSS及び、Block-Ⅲ以降のGPSより送信されているL1帯の信号。L1 C/A信号に比べ、信号受信のロバスト性の改善、マルチパス誤差の低減などが期待される。

L1 C/A
QZSS及びGPSより送信されているL1帯の民生用信号。

L1-SAIF
準天頂衛星初号機で採用されていた、測位精度をサブメーター級まで向上するための補強信号。現在は利用できない。L1-Submeter-class Augmentation with Integrity Functionの略。

L1S
QZSSから送信されている、測位精度をサブメーター級まで向上するためのL1帯の補強信号。

L2帯
中心周波数を1227.60 MHzとする周波数帯。

L2C
QZSS及び、Block ⅡR-M以降のGPS衛星より送信されている、L2帯の民生用信号。
L2P(Y)
GPSのL2帯の軍事用測位信号であり、秘匿されているためコード測位には利用不可である。Pコードは一度流布されてしまったため、Wコードを重ねたYコードが利用されている。

中心周波数を1176.45 MHzとする周波数帯。

QZSS及び、Block-ⅡF以降のGPS衛星から送信されている、L5帯の民生用信号。

QZSSの測位技術実証サービスで利用されるL5帯の信号。

L6帯
中心周波数を1278.75MHzとする周波数帯。

L6
QZSSから送信される測位精度をセンチメーター級まで向上するためのL6帯の補強信号。

LEX
L-band EXperiment 信号の略称。準天頂衛星「みちびき」から送信される測位精度をセンチメーター級まで向上するための補強信号。現在はL6信号と呼ばれる。

『M』から始まる用語

MADOCA
Multi-GNSS Advanced Demonstration tool for Orbit and Clock Analysisの略。国立研究開発法人宇宙航空研 究開発機構(JAXA) が開発しているマルチGNSS 精密衛星軌道・クロック推計ツール。

MSAS
運輸多目的衛星用衛星航法補強システム(MTSAT Satellite-based Augmentation System)の略。日本が運用しているSBASで、現在は運輸多目的衛星MTSAT(Multi-functional Transport Satellite)を利用しているが、2020年頃より、みちびき3号機に切り替わる予定。

『N』から始まる用語

NavIC
インドが運用する衛星測位システム。Navigation Indian Constellationの略。2016年4月に名称が変更されるまでは「IRNSS」と呼ばれていた。

『P』から始まる用語

PDOP
位置精度低下率(Position DOP)の略。HDOPとVDOPを合成したもの。

PPP
搬送波位相を観測量とし、受信機に精密軌道暦や衛星時計推定値などのパラメータを与えることにより、基準局を使用せずに精密測位を行う測位方法。日本語では高精度単独測位、精密単独測位と呼ばれる。

『Q』から始まる用語

Q-ANPI
→衛星安否確認サービス

Q3
国土地理院で、電子基準点の観測データを解析して求めている、電子基準点の「日々の座標値」のひとつで、観測日の約6時間後に生成される迅速解(Quick Solution)のこと。

QZSS
準天頂衛星システム(Quasi-Zenith Satellite System)の略。日本の衛星測位システム。2010年9月11日に打ち上げられた初号機「みちびき」の名称が現在、システムの名称としても使用されている。

『R』から始まる用語

R3
国土地理院で、電子基準点の観測データを解析して求めている、電子基準点の「日々の座標値」のひとつで、観測日の2日後に生成される速報解(Rapid Solution)のこと。

RNSS
地域衛星測位システム(Regional Navigation Satellite System)の略。地球全体ではなく、特定の地域で運用される衛星測位システム。インドのNavIC、日本のQZSS等が該当する。

RTK
Real Time Kinematicの略。リアルタイムにキネマティック測位を行う方法。基準局から携帯電話や無線によって補正データを移動局側に送り、移動局側はそのデータを使って測位を行う。精度は静止長時間観測&後処理による精密測位には劣るが、移動しながらリアルタイムに高精度な位置を得られることは大きな強みである。

『S』から始まる用語

SBAS
静止衛星型補強システム(Satellite Based Augmentation System)の略。地上の電子基準点の観測結果を基に、静止衛星を介し補強信号等を送信するシステムの総称。航空機に用いられれ、日本のものはMSAS、米国のものはWAAS、欧州のものはEGNOSと呼ぶ。

SLAS
みちびきのサブメータ級測位補強サービスで、Sub-meter Level Augmentation Serviceの略。GNSS測位の精度を数メートルにするための補強信号を配信するもの。

『T』から始まる用語

TLE
2行軌道要素形式(Two-Line Elements)の略。テキスト2行で表現された人工衛星などの軌道情報である。

『V』から始まる用語

VDOP
垂直精度低下率(Vertical DOP)の略。DOPのうち、垂直成分だけを指標化したもの。

VRS
Virtual Reference Stationの略。ネットワーク型RTKの仮想基準点方式のこと。複数の電子基準点の観測量を用いて、移動局の近くに仮想基準点を作り出す。この仮想基準点において観測されるであろうデータ(疑似距離、搬送波位相等)を作り出し、ネットワークを通じて利用者に配信する。移動局側はこのデータを利用してRTK測位を行う。

『W』から始まる用語

WGS 84
World Geodetic System 1984の略。米国が運営・管理している世界座標系。座標系、楕円体、地球重力ポテンシャルをもった総合的システムで、GPSで使用されている。

 

五十音順

『あ行』の用語

アベイラビリティ
可用性。衛星システムやサービスが正常に使用できる時間の割合のこと。

アルマナック
測位衛星が航法メッセージに載せて送信する、すべての測位衛星の概略の軌道情報。1日に1回更新される。

位相角
波の1周期を360°として1波に満たない部分を角度で表したもの。GPSでは慣習的にサイクルという単位で表す(例:位相角180°=0.5サイクル)。

インテグリティ
完全性。システムが使用されるべきでない時にタイムリーに警報を出す能力のことで、警報を警報時間内に発生しない確率と警報時間を用いて表現される。

衛星安否確認サービス
みちびきが提供する、S帯の電波を用いたサービスで、災害時における、避難所の情報をみちびき経由で管制局に送信し、収集する手段として利用できる。

衛星測位サービス
みちびきが提供するサービスのひとつで、GPSと互換性のある測位信号を提供し、GPS衛星の一つとして利用できるようにするもの(測位補完)。

エフェメリス (放送歴)
測位衛星が航法メッセージの載せて送信する、衛星ごとの詳細な軌道情報。地上の制御局での衛星軌道追跡結果に基づく予報値であり、2時間ごとに更新される。

エポック (epoch)
干渉測位でのデータ取得時刻。エポック間隔は、スタティック測位では通常15秒または30秒に、キネマティック測位では1秒~数秒に設定される。

オン・ザ・フライ法 (on the fly:OTF)
任意の場所で短時間に整数値バイアスを解く方法の総称。この機能がついた受信機は2周波数型のものになる。RTK-GPSの初期化方法(整数値バイアスの推定)として使用されている。

『か行』の用語

干渉測位
相対測位の一種で、衛星から受信機までの電波の波数を測る測位方式。2つの観測点で同時に観測することにより、2点間の基線ベクトルを求める。

環閉合計算
隣接する複数のセッションから形成される任意な多角形において、基線ベクトルの成分ごとに足し算して、各成分の閉合差を点検すること。同一セッションのデータのみで計算された環閉合差は理論的にゼロになる性質があるので、異なるセッションでの基線ベクトルを用いる必要がある。

擬似距離
測距信号によって求めた、受信機と衛星の距離。様々な誤差が含まれており、実際の距離とは異なることからこう呼ばれる。

擬似雑音符号 (PRN code)
0と1の不規則な系列がある周期をもって同じパターンで繰り返されている符号列。C/AコードとPコードがこれにあたる。

基線解析
観測点間の三次元基線ベクトルを求める計算。観測点の数が多い場合には、複数の観測点の間の基線ベクトルをすべて求める計算となる。

航法メッセージ
測位衛星が測距信号に載せて放送する、衛星の軌道情報をはじめとする測位に必要な情報を含んだメッセージのこと。

コード測位
測距信号(コード)によって求めた疑似距離を使用する測位方法。

『さ行』の用語

災害・危機管理通報サービス
みちびきが提供するサービスのひとつで、防災機関から、地震、津波などの災害情報、避難勧告などの発令状況について送信するもの。

サイクルスリップ (cycle slip)
搬送波位相を用いた測位方法において観測中に衛星電波受信に瞬断があり、受信機での位相計算が一時中断してしまうことにより生じる位相データのずれ。

三次元網平均計算
干渉測位において、基線解析から得られた独立な基線ベクトルと分散共分散行列を使用し、観測点の座標成果を得るために三次元で網平均計算を行う方法。

ジオイド
静水面を基準とした重力の等ポテンシャル面。日本では測量法で東京湾平均海面を基準と定めている。

ジオイド高
準拠楕円体からジオイドまでの高さ。

準拠楕円体
地球に近い長半径・扁平率を与えた回転楕円体を地球に固定したもの。経緯度の基準として用いられる。代表的なものにベッセル楕円体やGRS80楕円体などがある。

整数値バイアス
干渉測位における測位衛星から受信機までの波の数の整数部。受信開始時には1未満の端数(これを位相という)はわかるが整数部は後に計算して求める。整数値バイアスの値は時間によって変化しない為、受信を中断しない限り保持される。整数値アンビギュイティとも言う。

精度低下率
単独測位における衛星配置による測位精度の低下率。擬似距離測定誤差の測位誤差への拡大係数とも捉えられる。DOPにはその定義の仕方によって種々の指標があり、数値が大きくなるほど精度が低く、すなわち測位後差が大きくなる。 →DOP
精密暦
衛星軌道追跡網を設けて決定された衛星の精密な軌道。航法メッセージにより放送される衛星軌道情報である放送暦(エフェメリス)の精度が十分でないときに用いる。

世界測地系
世界で共通に利用可能な測地原子。代表的なものとして、日本の測地基準系に導入されている「ITRF」及び米国のGPSで使われている「WGS 84」がある。

セッション (session)
スタティック測位における1回の観測。複数の受信機を用いて一定時間、設定されたデータ取得間隔で連続して行う観測であり、基線解析はこのセッションごとに行われる。

相対測位
複数の受信機を使用し、2点間の相対的な位置関係を求める測位方法。

測位技術実証サービス
みちびきが提供するサービスのひとつで、新技術による測位信号の実証をするための環境を提供するもの。

測地基準系(測地系)
地球上の位置を経度・緯度・標高で表わすための基準。

測地成果2000
日本測地系2000を元にした測量成果。

測地成果2011
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震をうけて改定された測地成果。この成果をもとに日本測地系2011が構築された。

『た行』の用語

対流圏遅延
地表付近の大気の影響によって電波の伝播速度が遅くなり、受信機への到着時刻が遅れること。

楕円体座標系(測地座標系)
地球上の位置を緯度、経度で表わす座標系。3次元の場合は楕円体高が加わる。

単独測位
1台の受信機によって測位を行う方法。4個以上の衛星から電波を受信することによって受信機の位置をリアルタイムに求める。

地心直交座標系
楕円体の短軸をZ軸とし、零子午線が通る面をXZ平面とする三次元直交座標系のこと。地球上の位置を地球中心を原点とした(X,Y,Z)座標であらわす。

ディファレンシャル測位
擬似距離を補正する精度の高い測位方式。地上位置が既知の基準局で単独測位を行い、擬似距離の誤差を推定して補正値として放送する。周辺の観測局(移動局)でも単独測位を行い、その補正値を受けて擬似距離を補正する。

電子基準点
国土地理院が日本全国に千数百点設置・運用しているGNSS電波の連続観測点。基本測量・公共測量に利用されるほか、地震および火山活動などを監視するための地殻変動観測に利用されている。

電離層遅延
地球を取り巻く電離圏の影響によって電波の伝播速度が遅くなり、受信機への到着時刻が遅れること。

『な行』の用語

二重位相差
2個の衛星と2個の受信機間での観測値の差。干渉測位において波数の観測値に含まれる衛星時計と受信機時計の誤差の影響を除去するためにとる。受信機間の基線ベクトルを求めるための測定データとなる。

日本測地系(旧日本測地系、Tokyo Datum)
明治時代から2001年度まで用いられていた測地原子。日本経緯度原点における天文測量による緯度・経度・方位角観測結果を、ベッセル楕円体を日本経緯度原点に結合したもの。

日本測地系2000
2002年度の改正測量法の施行において導入された、世界測地系に準拠した測地原子。JGD2000(Japanese Geodetic Datum2000)とも呼ぶ。

日本測地系2011
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震により測量成果が改定されたこと(測地成果2011)に伴い再構築された測地原子。JGD2011とも呼ぶ。

ネットワーク型RTK
搬送波測位による相対測位の方式。電子基準点から作成された補正データを使用することで、利用者は実質1台の受信機で、リアルタイムに高精度測位が可能となる。VRS方式とFKP方式の2つが一般的。

『は行』の用語

バイアス決定比 (ratio)
整数値バイアス決定の確実さを表す指標。通常、組合せの第二候補による事後分散の値を第一候補による事後分散の値で割った比を用いる。この値が大きいほどバイアス決定の確度が高い。

搬送波 (carrier)
測位衛星からの電波。測距信号、航法メッセージなどが変調されて送信されている。

搬送波測位
搬送波の位相を用いた測位方法

ベッセル楕円体
1841年にドイツのフリードリヒ・ヴィルヘルム・ベッセルが導き出し、全世界で広く採用された準拠楕円体。日本でも明治時代から2001年度までの日本測地系で採用されていた。

補完信号
GPS衛星ではない衛星が送信する、GPS衛星からの信号と同等の信号。

補強信号
QZSSから送信される信号の精度を向上する為の信号。

北斗(BeiDou,Compass)
中国が運用している衛星測位システム。

平面直角座標系
測量を楕円体上でなく平面上の距離で扱うため、地籍測量及び公共測量を対象に導入されている平面上の直交座標系。

『ま行』の用語

マルチパス
電波を利用した通信の際、同一発信源の電波が建造物や地表などに反射・回折して受信側に複数届いてしまうこと。衛星と受信機との測距において誤差が生じる原因となる。


更新情報

2014年7月作成
2019年9月一部修正
2020年3月更新、ページ内リンク追加