連載
第6回 第1項 日本の位置の大きなずれ(日本測地系)
2000年11月15日
原点の地点が東京に選ばれ、その地点における天文測量で原点の経緯度などが決められました。日本の「経緯度原点」と呼ばれているものです。これは、地球の形と大きさは「ベッセル楕円体」を採用し、経緯度原点において地球に結合させています。一方、「日本列島の形と大きさ」は三角測量で決められ、経緯度原点および楕円体面上に結合されています。今から約100年昔の明治時代につくられた日本の位置を表す取り決めです。最近は「日本測地系」と呼ばれだしました。三角測量や三辺測量などのような地上測量を行っている限りは、日本測地系などを意識する必要もありませんでした。
90年代に入りGPS測量が実用化すると、事情は一変しました。日本だけに通用する「日本測地系」とGPS測量に必要な汎世界(グローバル)的な「世界測地系」の使い分けが必要になってきたのです。
日本測地系が採用しているベッセル楕円体や原点の経緯度が実際の地球に正確に結合していれば問題がないのですが、ベッセル楕円体の半径は実際の地球の半径より約700mも短いのです。さらに世界地図上では、日本の経緯度原点の位置は実際の地球上の位置より南東約450mのずれたところに印されているのです。また、日本測地系のベッセル楕円体の中心位置は、地球重心から約850mも離れています。