連載
第6回 第6項 混乱期から統一期へ
2000年11月15日
公共測量における基準点測量の処理では、次のことが言えます。
- GPS観測(広報歴)の基線解析座標:WGS84
- 基線解析以外は全て日本測地系座標
- 基線解析以外の目的で「WGS84」<->「日本測地系」の座標変換の必要がない
現在、日本測地系と他の座標系(例えばWGS84)との正確な座標変換プログラムはありません。国土地理院HPには次のように記されています。
“WGS84系は,元来,数mの精度を目標に維持管理されている座標系なので、数cmの信頼できる変換パラメータは存在しません。“
あまりにも無批判に「ダブルジーエスハチジュウヨン」に憑かれた例にぶつかるので、筆者自身もしばしば混乱してきました。筆者の混乱を自分自身に言い聞かせるためにも今月号は、同じ事をくり返し述べてきました。旧来の日本測地系からグローバルな測地系への移行過程で生じている混乱のように思います。特に、指導的立場にある公的機関の担当者は、民間測量業者からすれば「神様」です。筆者も含めて過渡期の混乱から早く抜け出したいと願っています。過去には混乱のなかで書いた筆者の文章も出回っています。読者の方々のご指導ご鞭撻をお願い申し上げます。
測地成果2000が実現すれば、日本の新測地系JGD2000はITRF94/GRS80に統一されます。GPS測量の基線解析もITRF94/GRS80で行います。結局、座標系の混乱は回避されると思います。新測量法案が国会の審議を経て早く公布施行されることが期待されます。