連載
第9回 第6項 正標高
2001年02月15日
測量で使われる高さは、ジオイド面から鉛直方向の長さHで定義されます。
静水面は同じ高さとは限りません。一般的に静水面は平行ではありません。そのために、場合によっては正標高の低い所から正標高の高い方向へ水が流れることがあるのです。正確な正標高を求めるためには、実測に基づく正確な重力値が必要になります。
現在日本で使われている高さは正標高には違いはありませんが、実測に基づく正確な重力値が使われていません。地球を一様な密度分布をもった回転楕円体と仮定した場合の「正規重力」を使っています。測地成果2000では、正確な重力値に基づいた高さである「正標高」が使われます。
現在使われている高さと新しい正標高の差は、山岳地で大きく、日本で一番高い野麦峠の水準点(1700m)では約20cm高くなります。平地ではそれほど問題になることはありません。
現在の水準点の高さは、1969年が基準で、約30年が過ぎています。日本は地殻変動が大きいので、むしろそのことが問題で、20~30cmも修正される場所もあります。