連載
第5回 第2項 測量法で定められた測量の基準面
2000年10月15日
測量法第11条では、測量の基準が次のように定められてされています。
- 地球の形状及び大きさは、ベッセル楕円体による。
- 位置は、経緯度及び平均海面からの高さで表示する。
- 距離及び面積は、水平面上の値で表示する。
筆者は新測量法の条文をみる立場ではないため、これまで国土地理院が学会などで公表してきたことから推定すると、これらの定めは、測地成果2000では次のように改定されると思われます。
- 地球の形状及び大きさは、GRS80楕円体による。
- 位置は、経緯度及び平均海面(ジオイド)からの高さで表示する。
- 距離及び面積は、準拠楕円体面上の値で表示する。
現行における距離や面積は水平面上という平均海面上で表示されていますが、測地成果2000では準拠楕円体面上で表示されることになります。
平均海面を陸地へ延長した静水面は、「ジオイド」面と呼ばれています。準拠楕円体面から平均海面であるジオイドまでの高さは、「ジオイド高」と呼ばれています。日本における測地成果2000のジオイド高は、図に示してありますように約30~40mです。平均的なジオイド高は約35mです。面積を表示する基準面が、平均海面から35mほど地球重心に近いGRS80準拠楕円体面となるため、前述のように日本の面積が小さく表示されることになるわけです。
ただし、住民の所有する地表面の面積が変わるわけではありません。表示方法が少し変わるだけですから何の問題もありません。くれぐれも誤解のないようにして下さい。