連載

第5回 第3項 測量の基準面(平均海面)

地球全体で見たとき、地球の形に最も近いGRS80「準拠楕円体面」と「ジオイド面」とは、最大最小±100mほど離れています。日本の陸地では、前述しましたように、30~40m離れています。

 

05-03-1


図のように、地球を代表するモデルは「楕円体」と「平均海面」の2つです。楕円体は人間が勝手につくったものですから、いろいろな楕円体があります。測地成果2000では、現在世界で公認された地球に最も近い「GRS80(Geodetic Reference System):測地基準系1980」が採用されます。日本で100年間馴染んできた「ベッセル楕円体」はお役御免となります。楕円体に対して、平均海面という静水面が存在すると仮定すれば、それは人間の意思とは無関係に客観的に存在することになります。
地球に結合された楕円体は、「準拠楕円体」と呼ばれ、緯度・経度などの水平位置の基準となります。一方、平均海面を陸地まで延長した「ジオイド」面は、高さの基準となります。高さは水の流れと関係ある量で定義した方が実用的だからです。
本来距離や面積は、水平位置に関係したものですから準拠楕円体上で扱われなければなりません。日本におけるジオイド高は半世紀以上昔から分かっていましたが、それは極めて大雑把なもので、最近ようやく正確なジオイド高が求まるようになりました。その結果、前頁に示した地表と準拠楕円体の位置関係が正確に求まるようになり、距離や面積の表示が本来の基準面で定められるようになりました。測地成果2000における距離や面積は、ようやく本来の定めるところに落ち着くことになったことになります。

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