連載

第8回 第5項 地方の時代

私達の周辺における最近のキーワードとして、「国際化」、「規制緩和」などの他に「地方の時代」が強調されだしました。中央で決めたことに地方が無批判に従う時代は、終わりつつあるのだと思います。測量の作業規程なども地方によって独自性を出せばよいのではないでしょうか。首都圏など人口密度が大きい場所では、ことのほか測量の正確さが要求されます。地殻変動の大きい地域では、座標に時間の要素(パラメータ)を加える必要があります。無論、建設省公共測量作業規程のような標準的な国家基準が必要なことは言うまでもありません。

筆者はよくお客さんから測地成果2000に伴う座標変換にあたって、その座標変換方法などについて、質問を受けます。こうした質問の中には、画一的な基準への期待が込められているものもあります。測地成果2000の計画は、国際標準にすることと、基準点の整合性を高めること、にあります。したがいまして、 

  • 対象地域が市街地又は山林原野
  • 地籍や公共基準点の設置年度など、その歴史
  • 地盤沈下地域又は地震発生、もしくは地殻変動の大きい地域
  • 自治体の財政状況


など、様々な条件を考慮して、その地方の要求する計画をつくれらなければなりません。画一的処理は不可能であると思います。諸般の事情を考慮して基本設計を行います。各社の技術力が試され、現在のような「低価格競争」でなく「技術力競争」になるのではないでしょうか。各社とも技術力の切磋琢磨によって業界の技術水準を高め、結果として住民への貢献が可能になるように思います。
昨年夏に建設省は、入札・契約の手続きの改善について示しました。一言でいえば、技術評価を高める内容になっています。下図はその様子を現しております。従来のように発注を待って、マニュアルに従った定型的業務は仕事量そのものが減少しているので、「低価格競争」にならざるをえません。測地成果2000の座標変換に関した総合的判断と技術力を要するような地方に適した仕事は、随意契約となることでしょう。 

08-05-1

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