連載

第1回 第4項 関東大震災の影響

1923年9月1日関東地方を巨大地震(M=7.9)が襲いました。死者・行方不明14万2千人余、家屋全半壊25万4千余、焼失44万7千余の大災害をもたらしました。この地震による地殻変動も大きく、水平方向で最大3m余、上下方向で1m余にも達した地域があります。

01-04-1
三角点などの国家基準点も大きな影響を受け、地震後三角点の改測が行われました。地殻変動地域に対してその改測の範囲が狭かったため、変動したにもかかわらず、国家基準点の位置は全面的に修復されませんでした。そのため、関東南部地域の国家基準点の整合性が悪く、1970年代に入り関東南部の一部地域が再び改測されました。その結果、横浜市は1988年(黄色域)、神奈川県川崎市・埼玉県の一部・千葉県の一部(赤色域)は1990年、東京都の一部(緑色域)は 1991年に計算処理された成果が使われています。埼玉県の多くの地域は明治の三角測量のデータ、神奈川県と千葉県南部は関東地震直後の70年以上古い三角測量データが使われています。
以上のように、関東南部は測量時期の違いや計算処理の違いにより、前頁で述べた自治体の境界で基準点位置に不整合が生じる原因になっているのです。

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on LinkedInEmail this to someonePrint this page

目次へ戻る