連載
第10回 第1項 地方財政と測地成果2000
2001年03月15日
筆者は、先日ある県の職員研修会で、測地成果2000関連の講演を行いました。そこで出された県職員の意見は、「国土地理院は、測地成果2000になっても面積は変わらないので、混乱はないという主旨の説明をしている。それならば住民の税金をつぎ込んでまで現行測地成果を変える必要がないのではないか」というものでした。こうした測地成果2000に関する必要性の疑問がそこここで多く聞かれます。
測地成果2000の事業は明治以来100年ぶりの世紀の大事業ですが、国土地理院はこの事業推進のために特別な経費を見込んでいないのか?、地方が全額負担することになるのか?、負担を強いられそうな地方から疑問が出されているのです。その背景に地方財政のひっ迫があります。図は総務省のHPに示された地方財政の借金の推移です。右肩上がりで借金が増えてきています。
地方自治体の方々は、「国がやるべき仕事をなんで地方が経費負担しなければならないの」と言いたくなるようです。こうした地方の疑問をしっかりと受け止め解決方法を示さないと、測地成果2000に伴う地方自治体の改定作業が遅れる可能性があります。
なお、本講座は測量業者を対象に、こうした地方自治体などがもつ疑問を解消して測地成果2000事業を成功させる目的をもって始められたものです。まず、本講座最初の第1、2回をご笑覧下さい。