連載

第10回 第5項 地殻変動と測地成果2000

下図は、国土地理院HPに示された日本列島の地殻変動の様子です。太平洋プレートやフィリピン海プレ-トの影響で、太平洋岸の陸地は内陸に押し寄せられています。変動の大きいところでは、年間3cmにも達します。

 


10-05-1
国土地理院HPより


測地成果2000に使う電子基準点座標の元期は、世界時の1997年1月1日です。すでに4年余り経過しておりますので、大きいところでは10cmのギャップが生じています。先日、神奈川県で電子基準点を使ってGPS測量行った例があります。5cm程度の誤差が観測されましたが、地殻変動の影響によるものと推定できます。
計測技術が飛躍的に向上しました。その結果、これまで十分見えなかった地殻変動が無視できない状態にあることが分かりました。一般的に科学の進歩に伴い社会制度の改定が行われるわけですが、測量の作業規程に類するものの改定が必要になってくるものと思います。現在、筆界の定義として定常的地殻変動は考慮されていません。本講座12月で述べましたように、地積図の座標づけの傾向が強まってきています。今後、筆界に地殻変動の影響を考慮せざるを得なくなるものと思います。
位置の記述として、3次元空間に時間を考慮した4次元空間をとり入れることを考えます。しかし、位置の4次元空間処理は、行政上混乱する可能性がありますので、今後の研究課題としなければならないのではないでしょうか。

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