連載
第8回 第3項 地籍測量と測地成果2000
2001年01月15日
1世紀昔につくられた一,二,三等三角点は、設置後の地震に伴う地殻変動や地盤変動などで場所によってはその座標の不整合が大きくなってきました。これらを基に、地籍測量の基準点となる四等三角点がつくられました。三角点座標の不整合が大きい場所では、四等三角点の位置も当然不整合を生じています。1951年から開始された四等三角測量の結果、国土地理院は現在約62000点の四等三角点を管理しています。
地籍測量の基準点は、これら四等三角点が既知点として使われています。下図は、ある地域における地籍測量の図根点の閉合差と観測距離の関係を示したものです。一見ばらつきが大きいのですが、その原因は四等三角点の座標の不整合にあります。しかし、現在使われている規程に定められた誤差の許容範囲内におさまっています。つまり、規程上では全く問題がありません。
国土調査法施行令によれば、市街地を対象とした最も正確な場合における筆界点間の公差は、次のように定められています。「公差」とは基準値との差を言い、大雑把には測量誤差と理解できます。
筆界点間距離 | 10m | 公差 | 29mm |
20m | 33mm | ||
40m | 39mm |
また、筆界点の位置の誤差を示す公差は60mmです。測地成果2000が実現したら、このような大雑把なものは「測量」とはいえません。国家基準点の不整合及び古い時代の技術である平板測量を基に定められた基準ですから、仕方なくこんな大雑把なものになっているのでしょう。