ナレッジ
「ナレッジ」について
2019年05月30日
「ナレッジ」では、測量、GNSSや準天頂衛星、地理空間情報等に関する技術情報を発信します。
技術情報 |
読み切りの技術記事や論文を掲載します。 |
災害復興技術情報 |
災害復興に関連する記事を掲載します。 |
実証実験レポート |
当社が実施した利用実証等の実験結果を報告します。 |
連載 |
当社技術顧問による連載記事を掲載します。 |
用語集 |
測量や地理空間情報に関する専門用語集です。 |
AISAN SPIRITS NEWS |
当社が2013年度から2018年度にかけて刊行した季刊誌「AISAN SPIRITS NEWS」のバックナンバーの紹介です。 |
地殻変動補正提供サービスとは
背景:Background
準天頂衛星「みちびき」やマルチGNSSにより、高精度な衛星測位が身近なものになりつつあります。特に「みちびき」のセンチメートル級測位補強などの高精度単独測位(PPP)が普及することにより、今までできなかった高精度位置情報の活用が数多く検討されています。そして、衛星測位による高精度な位置情報は、空間情報(地図)の上に展開することで、より多様な活用が可能になります。
一方、地殻変動の大きい日本列島は常に複雑な動きをするため、過去のある基準日(元期)での位置を基にした空間情報が作成されています。つまり、高精度な空間情報と、高精度な衛星測位の間には時間の経過とともに、大きなズレが生じてしまいます。このズレは大きな箇所では1m以上あるため、このままでは高精度な衛星測位を活用することができません。
地殻変動補正提供サービスは、このズレを補正し、空間情報と衛星測位の位置の整合をとる仕組みとして開発されました。
目的:Objective
【図】2019.01.01時点での日本測地系2011(JGD2011)の元期からの変位量
(国土地理院セミ・ダイナミック補正パラメータより可視化)
地殻変動補正提供サービスとは
目的:Objective
国土地理院のセミ・ダイナミック補正は公共測量での利用を前提にした地殻変動補正です。パラメータはJGD2011の元期からの変位量をあらわすものですが、直接測位結果をパラメータで元期に変換する使い方ではなく、既知点を利用して相対的に今の位置を求めてから、パラメータで元期に変換する仕組みです。つまり測位に利用する既知点間の相対的な移動速度が小さければ、位置の移動量が大きくても利用することができ、この使い方であれば、パラメータは1年に1回の更新で十分です。
一方地殻変動補正提供サービスは、公共測量には利用できませんが、直接変換を行う事を前提とした仕組みです。既知点を利用した計算は不要となるため、様々な分野で容易に利活用できます。ただし、このパラメータの有効期限は、セミ・ダイナミック補正と比べ短くなるため、当社では単なる変換パラメータとしてではなく、性能評価、品質保証、利用範囲を含めた形で、地殻変動補正提供サービスのパラメータを決定しています。一定期間での更新が必要とはなりますが、その期間内での利用における品質サポートが付与されているため、安心して利用することができます。
技術:Technology
【図】左2018.04.01時点でのセミ・ダイナミック補正で座標変換した結果、5cm以上の誤差が生じている地点。右は1年後の2019.3.01時点での5cm以上の誤差が生じている地点。セミ・ダイナミック補正では、1年後には約17%の地点で5cm以上の誤差が生じてしまう。
地殻変動補正提供サービスとは
技術:Technology
当社の地殻変動補正提供サービスは、当社開発の「セミ・ダイナミック/リダクション」という技術を採用しています。「セミ・ダイナミック/リダクション」ではセミ・ダイナミック補正と同様の空間推定(クリギング法)に加え、時刻推定を行っています。
セミ・ダイナミック補正では近い過去の結果をもとに生成したパラメータを使うため、誤差は開始時点が最小で、時間経過とともに拡大していきます。
セミ・ダイナミック/リダクションでは過去の電子基準点の移動を解析し、将来時点での移動量を推測する技術を用いることで、パラメータの有効期間内で生じる誤差量が制限値に入るように最適なパラメータを生成しています。
品質:Quality
【図】セミ・ダイナミック補正とセミ・ダイナミック/リダクションの誤差の推移の違い。
変化量は同じだが、パラメータ基準日が異なるため、期間内での誤差が大きく異なる。
(値はサンプルです)
地殻変動補正提供サービスとは
品質:Quality
当社の地殻変動補正提供サービスで作成されたパラメータは様々な品質評価が行われ、品質レポートと言う形でユーザーに情報提供されます。
レポートには、利用期間内の誤差範囲推定、メッシュ毎の信頼度、利用に注意が必要な地域等の情報が含まれます。
また、地震等による急激な地殻変動が生じた場合は、独自に地殻変動量の算出評価を行い、パラメータ利用の制限情報の提供の他、部分的な補正パラメータの提供等を行う仕組みがあります。
研究開発:Research and Development
【図】品質レポート(例)
技術情報
「技術情報」について
「技術情報」では、読み切りの技術記事や論文を掲載します。
掲載記事一覧
『衛星測位の進化で従来測量 が不要の時代』 | 技術顧問 中根勝見、松坂茂 |
『センチメータ級測位補強サービスの利用とその品質の解説』 | 技術顧問 松坂茂、中根勝見 |
『50頁で分かる図解によるやさしい国際高さ基準座標系(IHRF)とジオイドのお話』 | 技術顧問 中根勝見、松坂茂 |
技術顧問プロフィール
中根勝見プロフィール
1937年 | 東京都出身 |
1955年 | 建設省国土地理院 入省 精密基準点測量、水準測量 重力・地磁気観測、地殻変動解析 測量データ処理 途上国研修員教育等に従事 |
1963年 | 東京電機大学卒 |
1983-5年 | ケニア共和国測地専門家 |
1997年3月 | 国土地理院(研究官)退職 |
現在 | アイサンテクノロジー(株)技術顧問 博士(工学)技術士(応用理学) |
松坂茂プロフィール
1956年 | 千葉県出身 |
1982年 | 東京大学大学院理学系研究科修了 国土地理院入省 宇宙測地技術(主にVLBI)の開発・解析、 国際測地観測に従事 |
1990-91年 | 米国測地測量局在外研究員 |
1999-2007年 | 国際VLBI事業(IVS)評議員 |
2011年 | IAG(国際測地学協会)フェロー |
2016年 | 国土地理院 退職 |
現在 | アイサンテクノロジー(株) 技術顧問 |
渡邉孝三プロフィール
出身地 | 新潟県 |
1969年 | 東京電機大学卒業 |
1969年 | 武藤工業入社 CAD,GISシステムの開発、販売に従事 |
1988年 | GIS学会設立に参加、設立後理事 |
1992年 | NSDIPA設立に参加、設立後事務局次長 |
1996年 | アジア航測株式会社入社、GISセンター長 |
2001年 | 株式会社NTTデータ入社、統合型GIS室長 自治体の統合型GISのコンサルタント |
2003年 | 「実学 自治体のための統合型GIS」出版 |
2008年 | 株式会社NTTデータ信越入社、統合型GIS室長 自治体の統合型GISのコンサルタント |
2010年 | 株式会社NTTデータ信越 顧問 アイサンテクノロジー株式会社 技術顧問(〜2015年) |
地殻変動補正提供サービスとは
研究開発:Research and Development
地殻変動の将来推定技術、空間推定の高度化、高密度化、急激な地殻変動発生時の評価手法の適正化等、地殻変動補正提供サービスに係る研究開発は、継続的に実施しており、パラメータや計算方法のさらなる性能向上に努めています。
また一方で、JGD2011以外の位置情報の地図や、PatchJGD等の影響で部分的に測地成果が異なる地図、どのような座標系で作製されたか不明な地図等に対しても、対応方法の相談や、調査、または専用パラメータの提供も可能です。お気軽にご相談ください。
お問い合わせはこちらから
【図】北海道胆振東部地震(2018.09.07)発生時の地殻変動量評価の例。
国土地理院の情報や独自の検証を基に、パラメータへの影響を調査。
パラメータ情報
【地殻変動補正提供サービス】パラメータの生成と評価:2019年6月1日~6月30日
2019年05月31日
2019年06月01日から2019年06月30日を有効期間とする
地殻変動補正提供サービス パラメータを生成しましたので、お知らせいたします。
パラメータの精度評価結果は以下の通りです。
水平方向の推定誤差の平均値は、 0.012 mです。
水平方向の推定誤差の標準偏差は、0.036 mです。
水平方向の推定誤差が4cm以下の地域の割合は、99.26%です。
なお、今回生成したパラメータは、すべての電子基準点のデータを使用し、
パラメータの生成および精度評価を行っています。
今後、パラメータと評価指標の精度向上のため、
解析条件を変更する可能性がありますので、予めご了承ください。
サービス
「サービス」について
2019年05月30日
「サービス」では、当社が提供するサービスに関する情報を発信します。
日本の地殻変動変位 |
日本測地系2011元期からの変動量など、地殻変動変位に関する情報を提供します。 |
地殻変動補正提供サービス |
当社が開発した地殻変動補正提供サービスに関する情報を提供します。 |
HABA |
HABAプロジェクトに関する情報を提供します。 |
HABA
概要
みんなが安全で元気になるプロジェクト
交通弱者の安全ナビゲーション、観光案内、位置情報を利用したコミュニケーションツールなどに利用できます。
→詳細内容
→利用例
HABAとは
地理空間情報活用推進基本法(平成19年)に基づき、「誰もがいつでもどこでも必要な地理空間情報を使ったり高度な分析に基づく的確な情報を入手し行動できる「地理空間情報高度活用社会(G空間社会)の実現」を目指し地理空間情報活用推進基本計画が策定され、地理情報システム(GIS)や、実用準天頂衛星システムの整備、さらには災害に強く持続可能な国土の形成、安全・安心で質の高い暮らしの実現、新たなサービス・産業の創出、行政の効率化・高度化を目指した総合的な施策が行われています。
2018年度には準天頂衛星4機体制での運用開始が計画されており、G空間社会の実現に向け大きな進展となります。
また、2020年度開催される東京オリンピック・パラリンピックでは国内外からの多くの観光客向けに地理空間情報を活用した様々なサービスが提案されており、広く世界に日本の地理空間情報技術をアピールするショーケースとして期待されています。
一般財団法人衛星測位利用推進センターとアイサンテクノロジー株式会社は、G空間社会の実現に向け「みんなが安全で元気になるプロジェクト」をコンセプトに高精度衛星測位サービスの実現を目指し、HABAプロジェクトを推進しています。
→詳細内容